司法書士試験合格者のほとんどは、司法書士業界の情報を持っていないと思います。
補助者経験があったとしても、それは勤務先の情報に限られます。補助者として働くのと、司法書士本職として働くのとでは、全くその意味が異なりますので、再度、本職としての視点で就職先を検討すべきです。
このコラムでは、失敗が多いと言われる司法書士事務所への就職において、どうすれば求職者が適切な事務所に就職できるのかを検討、提案いたします。
失敗が多いと言われる司法書士事務所への就職
司法書士事務所への就職は失敗が多いといわれます。
私も一度失敗しました。二つの事務所で修行しましたが、一つ目の事務所は、失敗でした。
資格試験予備校が主催する合同説明会で就職しましたが、自宅から一番近いからという安易な理由で選んだ結果、6か月で自主退職し、二つ目の事務所へ転職しました。
同期も次のような理由で一度ならず転職していました。
1. 条件面の理由(募集時の条件と実際の待遇が異なる、残業代が出ない)
2. 仕事上の理由(同期は色々な仕事を経験しているのに、自分の就職先は、登記専門・債務整理専門などで面白くないなど)
3. 人間関係の理由(他の職員と合わないなど)
では、失敗しない就職のためには、どうすれば良いのか?
私が思うに、次の通りです。
1. 就職前に、司法書士の業界(の変化)を分析する。
2. 就職しようとする司法書士事務所の業務内容を分析する。
3. 事務所の様子を見学させてもらう。入所前に良く話し合う。
4. 条件を明示した入所契約書を締結する。
順にご説明します。
司法書士業界のご紹介
ここ20年で激変!司法書士業界を揺るがせた外部要因
私が就職した平成11年は「司法書士といえば不動産登記。商業登記を少しやる事務所もある」という時代でした。
不動産登記は1年も勤務すれば、ほとんど一人でできるようになります。ところが、その後、急激に環境が変わります。
広告自由化/成年後見制度開始
平成14年
司法書士法人が設立可能に。
平成15年
簡裁代理権付与:業務分野の超拡大
報酬自由化(報酬規定撤廃):司法書士報酬の低廉化が進む。
平成16~20年
債務整理バブル:真面目に全件訴訟をして訴訟スキルを磨いた司法書士と、安易に和解して金しか残さなかった司法書士で格差発生。
登記が出来ない司法書士があらわれ、司法書士会で問題になる。
平成17年
登記のオンライン申請が可能に。
平成18年
法テラス設立:弁護士・司法書士の報酬低廉化が進む
平成22年
債務整理バブルの終焉:裁判事務から撤退する事務所と、交通事故事件などで研鑽を積む事務所で格差発生。
登記の陳腐化:法務省や司法書士事務所のHPを見て、一般人も自分で登記する時代が到来。
現在
報酬が安くなり、消滅しそうな登記だけにしがみつく司法書士と、新たな可能性を信じて業務を開発する司法書士に分かれている。
広告自由化/成年後見制度開始
平成14年
司法書士法人が設立可能に。
平成15年
簡裁代理権付与:業務分野の超拡大
報酬自由化(報酬規定撤廃):司法書士報酬の低廉化が進む。
平成16~20年
債務整理バブル:真面目に全件訴訟をして訴訟スキルを磨いた司法書士と、安易に和解して金しか残さなかった司法書士で格差発生。登記が出来ない司法書士があらわれ、司法書士会で問題になる。
平成17年
登記のオンライン申請が可能に。
平成18年
法テラス設立:弁護士・司法書士の報酬低廉化が進む
平成22年
債務整理バブルの終焉:裁判事務から撤退する事務所と、交通事故事件などで研鑽を積む事務所で格差発生。
登記の陳腐化:法務省や司法書士事務所のHPを見て、一般人も自分で登記する時代が到来。
現在
報酬が安くなり、消滅しそうな登記だけにしがみつく司法書士と、新たな可能性を信じて業務を開発する司法書士に分かれている。
外部要因はこんな感じです。
司法書士業務ごとの栄枯盛衰
司法書士業務に限らず、どのような仕事にも栄枯盛衰があり、次のようなライフサイクルで表現されます。
1.「ニッチ」から始まり、
2.「スター」になり、
3.「ルーティン」を経て、
4.「消滅」していきます。
これを司法書士業務に当てはめると次のようになります。
次回は「就職(勤務先を探す)前に考えて欲しいこと」について、お話しします。