あなまち司法書士事務所の司法書士楠上光弘(31歳)です。
私は令和2年度合格で、令和3年2月より勤務を開始しました。
先日口述試験がありました。そして、合格者の皆さんが今、最も気になっていることが今後の「事務所の探し方」だと思います。
そこで、このコラムでは前年度合格者である私から合格者の皆さんに対し、「事務所の探し方」についてお伝えしたいと思います。
一言付け加えておきますが、私は業界未経験で司法書士業界に入りましたので、合格前から司法書士事務所での勤務経験がある方には、参考とならないかもしれません。
目次
事務所探しのタイミング
司法書士業界未経験だった私の場合
同期の間では、筆記試験合格発表の後から本格的に勤務先を探し始める人が多かった印象があります。令和3年度合格者の皆さんも筆記試験終了後の時期は、エージェント求人サイトをチェックしたり、合同説明会に参加したりされているのではないでしょうか。
私の場合は
① 業界のことがよく分からない
② 新人研修のことで頭がいっぱい
③ 勤務しながら研修を受けるのはきついと聞いた
以上の理由から、すぐには事務所探しをしようとは思いませんでした。当時の私は、事務所探しは研修が開始して落ち着いてから、それか全ての研修が終わった時期から始めても遅くないと考えていたようですが、今思えばかなりのんびりしていたように思います。
勤務先を決定していく同期の存在
しかし、口述試験終了後あたりから、同期の間で「勤務先事務所が決まりました!」といった報告が上がるようになり、少し焦り始めます。そのため、とりあえずエージェントに登録してみることにしましたが、すぐやめてしまいました。なぜなら
① 事務所名が非公開のところが多い。
② 募集要項を見る限り、各事務所の業務内容の違いが見えてこない(これは私が業界未経験だったこともありますが)。
③ 紹介された事務所の中から「選ばされる」形で事務所が決まってしまう。
④ 勤務事務所が決定すれば、事務所がエージェントに対し、高額の紹介料を支払うことになるが、勤務する上で精神的負担を感じる。
今回寄稿した司法書士JOBサーチなら、以上のような懸念部分は解消されるのではないかなと思っています。
エージェントに登録してみて分かったこと
① 勤務司法書士の標準的な待遇
② 司法書士業界は、資格者の数が不足している「売り手市場」であること
③ ②から、自分が本当に勤務したい!と思える事務所が見つかるまで、事務所探しを妥協すべきでないこと
その後の事務所探し
当時司法書士業界の知り合いといえば同期しかおらず(先輩と知り合いになれば事務所を紹介していただけることがあります)、エージェントを使わない事務所探しは、自然と各事務所HPの求人ページやSNSとなってきます。結果的に、最終合格者発表の後、すぐに勤務先が決まりました。
何故今の事務所を選んだのか
理由
① 司法書士の業務範囲なら何でも経験できること
② 独立前提で採用してもらえること
③ 研修に参加できるように勤務時間を配慮してもらえること
④ 所長のような司法書士になりたい、所長の側で業務を学ばせてもらいたいと思ったこと
直感の重要性
なによりも「この事務所で働きたい!」という直感があったことが大きかったように思います。単なる思いつきではなく、直感です。
直感なんて当てにならないと言われそうですが、僕はとても大事な感覚だと思っています。事務所の内情については、実際に勤務してみないと分かりませんが、自身の直感を信じて勤務を開始しました。結果として、上記で挙げた理由を全て叶えてもらうことができ、満足しています。
通勤時間で事務所探しを妥協しない
私は、多少通勤時間が長くなっても自分が勤務したいと思った事務所で勤務すべきだと思っています。
私の家から勤務先事務所まで1時間半かかります。電車に乗っている間、何をしているのかというと、実務の本を読んだり、その日1日の業務の振り返りをしています(たまに疲れ果てて休んでることもありますが)。
したがって、通勤時間が無駄だと感じたことはありません。
先日ある同期の人とこんな話をしました。
「自分が本当に勤務したいと思う事務所なら、多少通勤時間が長くてもつらいとは思わないよね」
最近は長距離通勤に否定的な方が多いですが、いずれ独立を考えているのであれば、通勤が苦痛だと感じることはないと思います。
事務所探しで大事なこと
① 就職エージェントを「使いこなす」こと(自分で事務所を「選ぶ」姿勢を持つ)
② 将来なりたい司法書士像が定まっていなくとも、流れで事務所を決めないこと
③ 同期や先輩の話を聞き、アドバイスを受けること
最後に、令和3年度合格者の皆さんに対し、一言伝えたいことがあります。
せっかく難しい試験に合格できたのですから、「事務所探し」は妥協することなく、自身でとことん考えた上で決めてほしいと思います。