司法書士業界とは一体どのような業界なのでしょうか?
新人司法書士が、司法書士業界で生きていくためには、まずは業界のことを知っておかなければなりません。
ここでは、司法書士業界の現状、クライアントの種類、クライアント別に発生する業務、事務所形態といった観点から、司法書士業界を見てみたいと思います。
司法書士数の推移
全国の司法書士数は、年々緩やかな増加傾向にあります。(※図表1参照)
(司法書士白書より)
平成17年4月1日時点では1万7735名でしたが、平成27年4月1日時点では2万1658名と、10年間で3923名増加しています。
認定司法書士も、平成17年4月1日時点では8462名だったのが、平成27年4月1日時点で1万5613名と、こちらも同様に増加傾向にあります。
尚、平成28年1月1日現在の司法書士の構成は、男性が1万8343名で全体の83.5%を占め、女性が3614名で16.5%となっており、圧倒的に男性司法書士数が多くなっています。
年齢構成は、40代の5336名(24.3%)が最も多く、次いで60代の4910名(22.4%)、30代の4578名(20.8%)の順になっています。平均年齢は52.8歳で、最年少が22歳、最年長が100歳です。
不動産登記事件数
次に、司法書士に関連するいろいろな業務の件数を見てみましょう。
不動産登記(権利)の事件数は平成24年に若干件数は盛り返したものの、平成25年以降減少に転じ、全体として減少傾向が続いています。
平成17年時点で全体として約1020万件であったものが、平成26年時点では、約880万件になっており、約140万件も減少しています。
(法務省登記統計・司法書士白書より)
(単位:件)
(法務省登記統計・司法書士白書より)
登記の種別で見てみると、平成17年時点と比べて、軒並み減少傾向にありますが唯一「相続その他一般承継による所有権の移転」のみが約18%の増加を示しています。
会社登記件数
株式会社、有限会社(特例有限会社含む)、合同会社、合名会社、合資会社、外国会社の会社登記事件数は、平成18年の会社法施行時に一旦増加しましたが、翌年の平成19年には約20万件の急激な減少をし、その後も減少が続いています。
(法務省登記統計・司法書士白書より)
簡易裁判所民事事件数
簡易裁判所における民事事件新受事件数は、平成15年をピークにその後減少傾向が続いています。
(司法統計年報・司法書士白書より)
平成15年7月から認定司法書士に簡易裁判所の代理権が付与されており、平成15年の事件数の増加は、その影響が大きいと考えられています。
訴訟事件数は平成21年がピークとなっていますが、過払訴訟の減少に伴い、その後全体として減少傾向が続いています。
訴訟事件数は減少しているといえども、平成28年12月時点での日本信用情報機構に登録されている借入残高のある無担保無保証借入人数は1042万人おり、未だに膨大な数となっています。(株式会社日本信用情報機構 各種統計データより)
加えて、このデータには信用情報機関に登録のない金融業者などの数値は反映されていないことを考えると、債務整理自体の潜在的需要はまだまだあると考えられます。
破産、個人再生事件数
破産事件新受数は大幅な減少傾向が続いています。平成16年には約22万件あった破産事件数が平成26年には約7万3000件となっており、大よそ67%の減少を示しています。
個人再生事件新受数(小規模個人再生事件、給与所得者等再生事件)も、平成19年をピークにその後減少傾向が続いています。
平成19年の約2万7000件が平成26年には約7600件と、こちらも約72%の減少となっています。
(司法統計年報より)
成年後見継続受託事件数
リーガルサポート会員を対象にした、継続受託事件数の推移ですが、全体として右肩上がりの増加を続けています。
特に成年後見人、保佐人、補助人等の法定後見人への就任件数が顕著に増加しています。
また、グラフには記載されておりませんが、成年後見監督人、保佐監督人、補助監督人といった法定後見監督人や任意後見監督人への就任件数も年々増加しています。
遺言件数
公正証書遺言書作成件数も、増加を続けています。平成15年には約6万4000件だったものが、平成28年時点で約10万5000件と、約4万件以上増加しています。
また、自筆証書遺言等の検認手続数も、公正証書遺言数の増加ほどではありませんが、微増を続けています。
(日本公証人連合会統計、司法統計年報より)