どうも、こんにちは。関西地方のとある場末で細々と開業しているしがない司法書士です。
朝は家族全員にお弁当を持たせて送り出し、掃除洗濯を済ませ、通学路の見守りがてら町内を軽くジョギングした後、8時半頃から仕事開始。
17時には机の上を片付けて仕事を終える日がほとんど。急ぎの仕事がない日は、昼から美術館や博物館に行ったり、夕方まだ明るいうちから銭湯に行ったり、手の込んだ夕食を作り始めたりもします。
ところで、この度、司法書士JOBサーチさんから、「コラムを書いてもらえませんか?」と依頼され、「いやそんな!他にたくさん立派な先生がいらっしゃるじゃないですか!」と一旦はお断りしたのですが、お話を伺ってみるとどうやら「活躍から程遠い」「大して儲かってない」日陰の司法書士の話を聞きたいとのこと(ほんまかいな!)
それなら仕方ない。オバちゃんの自分語りですけどお暇でしたらお読みください。
司法書士になるまで
就職氷河期だというのに大学卒業後ろくな就職活動もせず、新聞の求人広告をみて応募した小さな会社は2か月で倒産。
その後すぐハローワーク経由で就職したこれまた小さな会社は働いて半年ほどで給料を払ってくれなくなり逃げるように退職。
3つ目に働いたところは地元ではそこそこ名の知れた企業。前2社と比べると天と地の差の待遇に驚き、骨を埋めるつもりで滅私奉公したものの、働きはじめて5年後に結婚、妊娠。
初の産休取得社員になり、子どもが2か月の時に職場復帰したものの、 出産前の担当はすべて変更され、自席は倉庫内。
与えられた仕事は「他の社員がExcelで作成した表を計算機で検算する仕事」だけ。明らかに辞めて欲しかったんでしょう。
それでも時間が解決する、産休取得第一号の私がここで辞めては他の女性社員に迷惑がかかると、一日も欠勤することなく10か月働きました。
でもある日、子どもを保育園に迎えに行き、抱っこ紐に入れて電車に乗っている時、ふと思いました。
「この子を預けてまで働く価値のある仕事なの?しがみつく価値のある会社なの?子どもがいるから、女だからといって差別されない仕事がしたい!子どもに誇れる仕事がしたい!」
そう思った後は速かったですね。
女一人でも独立して食べていける仕事、努力さえすれば取れる資格、そうだ司法書士を目指そう!ということで、夫の応援もあり、会社を辞めて勉強しはじめました。
結局、受験勉強中に下の子が生まれ、合格したのは上の子が3歳、下の子が1歳のときでした。
しょぼい司法書士としてのスタート
そんなわけで意気揚々と司法書士になったのですが、合格して冷静に考えてみると、特に立派な職歴や特技があるわけでもない、学歴も微妙、手のかかる幼児が2人もいる、既に30代とまぁまぁな年齢、その上いわゆるコミュ障、あるのは司法書士資格だけ・・・と自分がこれから華々しく活躍できそうな感じではないと気付いたわけです。
とはいえ、せっかく苦労して資格を取ったんだから今更進路変更はできない。しょぼい人間はしょぼいなりに頑張るしかないと就職活動を始めました。
案の定、苦戦したのですが、とある偏屈ボスの事務所に「オバハンだからうちの客を盗らないだろう」という理由だけ(←これは本当に言われました 笑)
で拾ってもらい1年間勤務した後、独立して今に至ります。
半径5mの人の幸せだけに関わると決めて
というわけで「無害なオバハン司法書士」は元勤務先の客を盗るどころか、何のコネもツテもなく独立。
独立後すぐは、どこからどうやって仕事を取ってくるのか分からず異業種交流会やビジネスを目的としたギラギラした会合の類にも何回か出席しました(黒歴史)。
たくさんの参加者の前で威勢よくスピーチをしたり、意識高い経営標語?みたいなのを大勢で唱和したり、偉いオジ様方にお酌して回ったり。名刺もたくさん配りました。
それを地道に続けている方もいらっしゃるので根性がないといえばその通りなのですが・・・私には決定的に向いていなかったです。
会合終了後はどっと疲れて、何やってんだろう・・・と思い悩む。
仕事に繋がるどころか、配った名刺は逆に「カモリスト」に利用され、保険やスピリチュアルその他どうでもいいものの勧誘だけが増えました。
というわけで、そういうのは独立後3か月くらいで全部止めました。
かといって、コミュ障なので金融機関や不動産屋さんに地道に御用伺いに行くような勇気もない。どうしたものかと悩んだりもしたのですが、仮にあちこちからジャンジャン依頼されても荷が重い。
子どもも小さいことだし子どものペースに合わせてのんびり考えよう、地道に半径5mの人たちの幸せに貢献しよう、と諦めました(笑)
そうしたら、それからお客様がお客様を運んでくださり、前のお客様の時にお世話になった他士業の先生や業者さんが別のお客様を紹介してくださり・・・という形でいつの間にか人の輪が広がってきた感じです。
仕事はもっと生活に近くていい
そんな感じでおかげ様でまぁまぁ忙しくなった今も、スケジュール帳にはまず私生活の予定を書き込みます。子どもの学校行事から通院、各種イベントに特売日(!)などなど。仕事の予定はその合間に入れる感じ。
既に私生活の予定が入っているところに仕事の予定が入りそうになることもありますが、その場合は「先約が・・・」とお伝えすれば済む話。特に子ども関係の予定に関しては「その日はベルマーク集計に行くんですわ(泣)」等、正直にお伝えすることで、その後家族ぐるみで仲良くさせてもらうようになった方も多いです。
子ども関係の催し物にお誘いいただいたことは数知れず、フェルト手芸を子どもに教えてくださった依頼者様、ロボットや船の制作現場を私達親子に案内してくださったエンジニアの依頼者様等々…。
仲良しの他士業の先生達とはいつも仕事の話よりも子どもの話で盛り上がりますし、不動産屋さんとは家族ぐるみでバーベキューをしたり芋掘りに行ったりします。
むしろ子どもが仕事を運んできてくれたと言っても過言ではないかもしれません。
「パリッとしたスーツに身を包み、生活臭を感じないデキる司法書士」に憧れを感じないわけではないですが、私には無理。
でも、逆に生活臭プンプンのオバちゃんだからこそ子ども関係のつながりや地元コミュニティを通じたお仕事をいただくことも多く、これが私のスタイル!と開き直ってます。
仕事と私生活、どちらが一つを選ぶなんてナンセンス。ごちゃまぜでやっていければいいかな、と。
お金ではなく自由と納得を
それにしてもこうやって振り返ると、大した職歴も人脈もないコミュ障で子持ちのオバちゃんが、人並みにお金を稼ぐことができて、しかも時々は人様の役に立てるなんて、司法書士って良い仕事だと改めて感じます。
もちろん、バリバリ働いてガッツリ儲かっている同業の先生はたくさんいらっしゃるわけですが、個人的には、この仕事の醍醐味は自由だと思っていますので、ガツガツ営業をかけたり、広告を出したり、ましてや人を雇ってまで業務拡大する気はありません。
勉強して知識を蓄えて、半径5mの範囲でお役に立てれば十分。狭い事務所に私以外に事務員さんがいたら…と考えるだけで息が詰まりますし、仕事が増えすぎて平日に美術館や美容院に行けなくなったら困ります。
いざとなれば私一人で子ども達を成人まで養っていけるだけの稼ぎはあるので、今のこの程度で満足です。
そしてもう一つ。
雇われている間は納得がいかない仕事、倫理的に問題があると感じる仕事も断るのは難しいものです。
でも、今は自分がボス。
いくら大金を積まれても嫌なら断るし、逆に多少嫌でも報酬が期待できるなら割り切ってお引き受けすることもあります。
また、報酬は期待できないけれどお手伝いしたい!と思う案件を進んでお引き受けすることもあります。
環境に恵まれず育ってきたお子さんへの支援、刑務所出所者への支援、病気や障害がある方への支援・・・
そうしたことを「自分がやりたいから」というだけの理由で、司法書士として、また、ただの世話焼きのオバちゃんとして、時間と労力と少しの専門知識を使って取り組むのも自由です。
そういうわけで、今取り組んでいることなど、まだまだ書きたいことはあるのですが、そろそろ夕方の特売セールの時間ですので失礼しますね!長くなってしまってごめんなさい。
ではまたどこかでお会いしましょう!さようなら!