手続が完了したら、完了後の書類等を授受しなければなりません。
クライアントに来所してもらうのか、こちらから持参するのか、郵送するのか、どのような受け渡し方法が良いのか、クライアントと事前に打ち合わせしておきましょう。
この時のポイントはしっかりと証拠を残すことです。
クライアントに書類を渡した場合は、受領証にサインをもらいましょう。
これも後から「渡した、渡してない」といったトラブルを防ぐ上でとても大切です。
郵送する場合も、クライアントに届いたことが確認できるようにします。
特に大事な書類を郵送する場合は、配達証明などを用いて、後から証明できるようにしておくことが必要です。
また、書類を預かった際に、こちらから預り証などを発行している場合は、書類と引き換えに返却してもらいましょう。
よくあるのが、クライアントが権利証を紛失してしまっている場合で、「前に登記をした際の司法書士から発行された権利証の預り証がまだ手元にあるのでその司法書士が持っているのではないか」と疑われてしまうことです。
もちろん司法書士であれば、きちんと返却しているに違いないとは思いますが、そのような疑いをかけられてしまうこと自体避けたいものです。
ポイントレッスン 勉強をし続ける
業務に慣れてくると、経験だけである程度案件がこなせるようになってきます。そうすると、勉強をやめてしまう司法書士がたくさんいます。
勉強をやめてしまうと、新しい案件にはなかなか対応できなくなってしまいます。
せっかく、難関の司法書士試験を突破するほどの能力を持っているのに、これはとてももったいないことです。
勉強をし続けて、どんどん自分がやったことのないような分野の業務もチャレンジしていくべきです。
また、勉強をし続けていないと、クライアントのニーズに答えることも難しくなってきてしまいます。
クライアントは今や「何も知らない素人」ではありません。
相談に来る際には、事前にインターネットなどで、かなりの情報を収集していることも多くあります。
クライアントにとっては、自分の問題なので、情報収集も真剣なのです。
慣れない分野の業務など、ともすればクライアントの方が良く知っていたりすることも起こり得ます。
もし、司法書士がクライアントより少しでも知識量が少なければ、クライアントはその司法書士のことをプロフェッショナルとして信頼することはありません。
逆に、少しでもクライアントの知識を上回っていれば、クライアントの信頼を得る土台があると言えます。
これは、微差ですが、信頼という意味では大きな差です。
プロフェッショナルとして、この信頼を掴むためにも、普段の勉強による知識量の蓄積がものをいうのです。
ポイントレッスン 愚直に
新人のうちは、クライアントと打ち合わせをするのにも、「自分が何かズレたことを言っていないか」とか、「こんなことを言ったら笑われてしまうのではないか」などといった不安があるかも知れません。
また、開業したての司法書士は、「他の事務所ではどうやっているのだろうか?」「自分の事務所だけおかしなやり方をしていないだろうか?」といった不安もあるかも知れません。
私自身も司法書士業界に入りたての頃や、開業したての頃はそのように不安に感じ、打ち合わせ時などに躊躇してしまうことが多くありました。
ただ、今振り返れば、そのようなことで躊躇して確認したいことも確認できず、後から大きなミスを引き起こしてしまうことこそ、プロフェッショナルとして失格なのだと思います。
業界慣れしたクライアントなどは、「先生堅いね~」とか「前にやってもらった先生はそんなこと言ってなかったよ」というようなニュアンスのことを言ってきたりします。
このようなことを言われたとしても左右されず、確認すべきところは一つ一つ愚直に確認することができる人間こそが真のプロフェッショナルなのです。