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司法書士試験の当日の注意点を現役予備校講師が徹底解説(松本雅典)

司法書士試験の講師の松本雅典と申します。
司法書士JOBサーチさんで記事を書かせていただくことになりました。

私のことをご存知ない方もいると思いますので、簡単に自己紹介をいたします。

・平成22年度司法書士試験合格

・平成23年より司法書士試験の講師

・著書『司法書士5か月合格法』『リアリスティックテキスト』シリーズ等16冊

「早く本題に入れ」という方も多いと思いますので、自己紹介は手短にして、本題に入りますね。

この記事では、司法書士試験の本番に臨む受験生の方に、以下のことをお伝えしたいと思います。

司法書士試験当日の注意点

解き方を変えない

受験生の方からよくお聴きする試験本番の失敗例が、「当日、いきなり解き方を変えてしまった」というものです。

みなさん、模試などを受けて、決めている解き方があると思います。
「午前択一は民法から解く」とか。
当日、それをいきなり変えてしまう方が意外に多いです。

「午前択一は民法から解くと決めていたのに、試験本番が始まって、第1問の憲法の問題が目に入り、なぜか憲法の問題から解きたくなり、第1問から解いてしまった」などです。

事前に決めていた解き方を変えると、失敗してしまう確率が高くなります

なぜかというと、変更した解き方はほとんど初めて行う解き方です。
そうすると、時間配分もわからなくなってしまい、リズムもどんどん崩れていきます。

「そんなこと自分に起きないだろう」「魔が差すなんてことはないだろう」と思うかもしれませんが、実際に、この失敗をしてしまった方は多いです。

そうならないよう、事前に、ご自身が決めた「解く順番や時間配分を記載したメモ」を用意して、試験が始まる前に、確認するようにしてください。

難問でリズムを崩さない

これは、特に午後に多いのですが、難問が出題され、リズムを崩してしまう受験生の方が多いです。
これまでの試験では、以下の科目で難問が出題されることが多かったです。

・民事訴訟法(択一)
・不動産登記法(択一)
・不動産登記(記述)
・商業登記(記述)

いずれも、午後の柱になる科目です。
民事訴訟法(択一)は、午後の最初の5問です。
不動産登記法(択一)は、午後択一(35問)で最も出題数が多いです(16問)。
不動産登記(記述)と商業登記(記述)は、言わずもがなでしょう。

難問が出題されると、模試で高得点を取ってきた方であっても、一定数の方はリズムを崩してしまいます。
難問を間違えてしまうのは構わないのですが、難問でリズムを崩したために、難問の間にある基本知識で取れる問題も難しく感じてしまい、基本知識で取れる問題を間違えてしまうのがまずいです。
「正解していない……」という感覚で解いていると、自信がなくなり、基本知識の問題も間違えてしまうのです。

では、難問に対してどのような対策をすればよいのか。
それは、難問を解いた後、「他の人もどうせ解けないだろうな」と考える、この思考パターンをシミュレーションし、本番でも実践することです。

「これだけ勉強してきた。模試でけっこう高い点数を取ってきた。その自分に解けないんだったら、他の受験生が解けるわけがない。600人〔*〕も解けるわけがない」と考えるのです。
*近年の合格者数は600人前後です。

難問を解いた後、マークする時に(次の問題にいく前に)、上記のように考えてください。
思考パターンというのは、いきなりはできるようにならないので、本試験までに、模試や年度別の過去問を解く際に練習してください。

司法書士試験当日のお勧め

勉強をするのではなく◯◯をする

本試験当日、試験会場に着いたら、勉強する方と勉強しない方に分かれます。
試験会場で勉強すると、「これも記憶していないかも……」と不安になってしまう方は、試験会場に着いたら、勉強しないほうがいいです。
そうはならない方も、勉強よりも優先して行っていただきたいことがあります。

それは、記述の2回以上間違えた箇所やこれまでのケアレスミスなどを記載したメモを見るということです。
※上記「解き方を変えない」で説明した「解く順番や時間配分を記載したメモ」も併せて見てください。

上記のようなメモを作成していなければ、本試験までに、簡単なもので構わないので、作成されることをお勧めします。
作成する過程で、ご自身のミスのパターンや解き方などを再認識できる効果もあります。

試験直前は、知識を入れるよりも、ご自身のミスのパターンや解き方などを再確認することのほうが効果が高いです。
「本試験の5時間で自分の実力を発揮できるのか」で合否が決まるのが、司法書士試験です。

午後の試験で集中力が切れた場合にすべきこと

「試験の5時間、集中力が持たないです……」というご相談を受けることがあります。
年々、少しずつこのご相談が増えてきています。

これは、私自身も実感しております。
私は、司法書士試験に合格した後も、本試験を受け続け(当然合格はしないようにしています)、司法書士試験をすでに12回受けています。
年齢を重ねてきて、段々と集中力が持たなくなってきました。
午前の2時間は大丈夫なのですが、集中力が切れることがあるのが午後です。
午前の試験で頭をフル回転させ、難しい問題の多い午後択一を解いた辺りで、集中力が切れてしまうのです。

そういった経験が模試やかつての本試験である方は、以下の対処をすることをお勧めします。

・集中力が切れたと思ったらペットボトル飲料を飲む
※今の試験では、試験中に、持ち込んだペットボトル飲料を飲むことができます。

・トイレに立つ
トイレに行くことは時間のロスになるということで避ける受験生の方が多いのですが、集中力が切れたまま問題を解き続けるよりは、いったんインターバルを置いたほうがいいです。
また、たとえば、不動産登記(記述)の途中でトイレに行った場合、歩きながらでも実は脳が思考を続けているので、「あっ、そういえば名変登記が必要な事案だったかも!」などと答えがわかることもあります。
このように、トイレも合格の道具に使ってください。

最後に

「司法書士試験当日の注意点」「司法書士試験当日のお勧め」について説明してきましたが、最後に、最も大事なことを申し上げます。

それは、「試験中に合格を諦めないこと」です。

「そんなの当たり前だろう」と思われるかもしれませんが、この試験は、試験中に諦めたくなる場面が1~2回あります。
午後の試験で諦めたくなることが多いです。
「午後択一が難しすぎる……」「時間内に書ききれない……」など。

しかし、あなたがそう感じているのであれば、他の受験生の方のほとんども同じように感じています。
そこで気持ちの糸が途切れた人から脱落していきます。
諦めたくなっても、16時までは食らいついてください。
その先に合格があります。

応援しております。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
皆様の司法書士試験の合格を祈念しております。

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