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司法書士と不動産鑑定士との連携

ご挨拶

不動産鑑定士の三宅と申します。
平成20年度から近畿司法書士会連合会の新人研修講師を務めています。
「行政制限」という科目、覚えてくださっていますか。

先生方の業務の中で、登記だけではなく、ご依頼者様から様々な相談を受けてらっしゃることと思います。

この相談にしっかり向き合えると、「さすが先生!」と喜んで頂けて、登記をはじめとする司法書士業務がスムーズに進み、さらなる社会貢献にも繋がっていきます。

しかし、相談内容によっては、対応に困ってしまう場合が出てくるかもしれません。
このような時は不動産鑑定士をご活用ください。

本コラムでは、新人研修の時よりもさらに実務的な内容で、どんな場合に不動産鑑定士がお役に立つことができるのかをご紹介したいと思います。

親族・関連会社間売買

売買当事者が特別な関係にある場合、登記を行う前に、税務面からの検討が必要となることがあります。
親子間、法人と代表者、関連会社間等の売買が該当します。

親族・関連会社間の売買では、「時価」で売買することが必要です。

時価とは、「不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」のことをいいます。時価と著しく乖離した価格で売買を行うと、大きな税務リスクを抱えてしまう可能性があります。

しかし、不動産は「一物四価」と言われるほど、様々な価格があります。

実勢価格、公示地価・基準地価・相続税評価額・固定資産評価額など、同じ不動産であっても、何倍もの価格差になることもあります。いわゆる「時価」、「時価とみなす」、「時価として取り扱う」等、どの価格をどう考えていくかが重要となります。

適正な価格が決まらないと、契約ができず、登記もできません。
不動産鑑定士は、適正な時価を判定する専門家ですので、このような場合もお役に立つことができます。

不動産の交換

対象となるそれぞれの不動産の価格の「差」が重要となる場合です。

通常の譲渡(売買や贈与)では、不動産の譲渡に伴って多額の税金が発生します。
一方、交換の特例に合致すれば、当該交換にかかる税金は課税されません。
 
そのため、それぞれの不動産の価格がいくらとなり、交換の特例に該当するかどうか、詳しく検討する必要があります。このような場合も、不動産鑑定士がお役に立つことができます。

賃料(地代・家賃)の増減額請求

「地代・家賃を上げたい(下げたい)」というご相談も多いのではないでしょうか。

賃料(地代・家賃)の増減額請求は、当事者間交渉・代理人間交渉・調停・裁判の各段階で、どこまで請求できるかが変わってきます。

単に「現行賃料が安い(高い)」という理由だけでは、調停や裁判で認められないこともあり、直近合意時点(現行賃料を定めた時点)から現在までの経済情勢の変動等を十分に検討する必要があります。

不動産鑑定士は、「価格」だけではなく、「賃料(地代・家賃)」も評価することができます。
お気軽にご相談ください。

融資年数と建物耐用年数

金融機関に融資を申請したものの、中古建物の耐用年数の関係で、希望する融資年数より短くなってしまうというご相談もあると思います。
融資が下りないと、そもそもの取引が進まず、登記もできません。

これは、金融機関が「主な減価償却資産の耐用年数表」を厳格に適用して、建物の経済的残存耐用年数を機械的に判断してしまうことが主な原因です。

しかし、良好な管理状態を維持し、適切な維持管理費、修繕費、資本的支出等を支出している場合は、法定耐用年数以上の耐用年数も十分に見込まれます。

このような場合も、不動産鑑定士が金融機関に提出する意見書等を作成することにより、お役に立つことができます。

登記面積と建物の適法性

「登記面積で計算すると、この建物は建蔽率・容積率超過となり、違反建築物ではないか」と、建物の適法性に疑義が生じる場合です。
売買やM&Aで買主が躊躇して取引が進まなかったり、金融機関から融資してもらえなかったりするため、登記もストップしてしまいます。

その建物が建蔽率・容積率を超過しているかどうか(違反建築物かどうか)は、登記ではなく、建築確認・完了検査の書類で判断する必要があります。

具体的には、行政機関の建築担当課において、建築計画概要書を閲覧ないし取得して確認することになります。
このような不動産の調査も、不動産鑑定士がお役に立つことができます。

なお、建築計画概要書があっても、完了検査後の増改築の適法性まで担保しているわけではありませんので、現地においてしっかり異同を確認することが大切です。

接道義務・セットバック

建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければなりません。
「道路」とは「建築基準法上の道路」のことをいいます。

接道義務を満たしていない土地は、建物を建築することができません。
今後の土地利用や担保価値等に大きな影響があり、知らずに売買してしまうと大きな問題となってしまう可能性があります。
 
また、セットバックについても、ご相談が多くなっています。
セットバックとは、道路中心線から2m後退線までを道路とみなす規定です。

いわゆる「2項道路」に対して適用される規定ですので、4m未満の道路であっても、2項道路でなければセットバックをする必要はありません。
上記同様に、これらの調査も、不動産鑑定士がお役に立つことができます。

成年後見と裁判所の売却許可

成年後見人をされている先生方も多いと思います。
被後見人の不動産を売却する時、裁判所の許可等が必要となる場合があります。

このような場合も、不動産鑑定士が適正な売却価格である旨の書類を作成することにより、お役に立つことができます。

ちょい聞きサービス

当事務所では、士業の先生方限定で“ちょい聞き”サービスを行っています。

不動産の評価について、「ちょっと聞きたい」ってことありませんか。
本格的な調査に至るまでもない意見程度のアドバイスでしたら、お電話などでお気軽にご質問ください。

原則無料で、不動産鑑定士がお答えいたします。
(調査・書面作成が必要な場合は、別途事前にお見積りいたします。)

また、一般的に「不動産鑑定士に頼むと高い!」というイメージをお持ちではないでしょうか。
「こんなに安い不動産なのに、不動産鑑定士を入れるとペイしない」とお考えではないでしょうか。

正式な不動産鑑定評価書は、それなりのお値段になってしまうことも多いのですが、内部的な利用や参考として活用など、簡易な書面でも十分な場合もたくさんあります。

依頼目的と予算に合った提案をいたしますので、司法書士の先生は不動産鑑定士をもう少しお気軽にご利用いただければと思います。

まとめ

各士業がしっかりチームとして連携できると、それぞれの力を超えて大きな成果を得ることができます。

上記のほかにも、まだまだ不動産鑑定士がお役に立てることがあります。
何か気になることがございましたら、お気軽に不動産鑑定士にお問い合わせください。

【執筆者紹介】

三宅不動産鑑定事務所
不動産鑑定士 三宅 純也

〒525-0032
滋賀県草津市大路1丁目9-1-1505
TEL 077-596-5753
FAX 077-596-5754
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