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最強の節税術「選択制企業型確定拠出年金」とは
「選択制企業型確定拠出年金」は主に大企業の正社員等が加入している退職金制度として知られています。
しかしながら、中小企業や小規模事業所でも導入が可能です。
細かい加入要件は、割愛しますが厚生年金適用事業所であれば加入者が代表者1人からでも導入は可能です。
個人事務所で厚生年金適用事業者でない場合は「IDECO」(個人型確定拠出年金)で代用できます。
「選択制企業型確定拠出年金」を検討すべき背景
2024年は5年に1度の公的年金の財政検証の年になります。8月下旬に検証結果が発表されますが、国民年金保険料の納付期限の5年延長や将来の年金給付額の減少などかなり厳しい現状が明らかになることが予想されています。理由は単純で今後日本は本格的な人口減少社会に突入してしまうからです。
2050年には日本の人口は現在の1億人超えから17%程度減少する見通しです。
従って、豊かな老後生活を送るためには公的年金だけでは不十分です。今からスグに備えておく必要があります。
選択制企業型確定拠出年金の導入を検討するのは福利厚生制度として、司法書士法人所長・個人事務所所長・従業員司法書士の皆様の為の税制上有利な積立年金制度を構築するのが目的です。
また、今後は若い優秀な司法書士の人材獲得にも必要不可欠な制度になると考えております。
「選択制企業型確定拠出年金」の具体的な活用方法
・選択制企業型確定拠出年金とは、総人件費の見直しにより企業型確定拠出年金を導入する制度設計です。
・選択制企業型確定拠出年金の導入にあたって、現行の給与や役員報酬の一部を「生涯設計手当」に分割し、生涯設計前払い金(給与や役員報酬と併せて受取)か、確定拠出年金として積立てるのかを加入者自身で選択できます。
・生涯設計手当を確定拠出年金として積立てすれば、掛金分から所得とならず、社会保険料の対象外となることから、節税、社会保険料の抑制効果を期待できます。
下の図で全体のイメージをご参照ください。
「選択型企業型確定拠出年金制度」導入による簡易節税シミュレーション
(各種データはSBIベネフィット・システムズ(株)専用サイトより抜粋)
掛金拠出の効果例
現状給与が30万円の従業員が2万円の掛金を拠出した場合
1年間で所得税・住民税の節税効果が1万9780円、社会保険料合計で3万4560円と合わせると1年間で5万4340円の節約になります。
仮に上図の30歳の方なら65歳までの合計が190万1900円とかなりの金額になります。
従業員の社会保険料負担が減るという事は事務所全体の社会保険料負担も減ることになります。
さらに所得水準が高い人の方がより大きな節税効果が期待できます。
掛金拠出の上限も月額5万5千円までの間で自由に選択できます。
現状給与(役員報酬)が100万円の方が5万5千円の掛金を拠出した場合
1年間で所得税・住民税の節税効果が20万7356円、社会保険料合計で3万1680円と合わせると1年間で23万9036円の節約になります。
仮に上図の30歳の方なら65歳までの合計が836万6260円と非常に大きな金額になります。この場合も役員及び従業員の社会保険料負担が減るという事は事務所全体の社会保険料負担も減ることになります。
掛金拠出の効果例(事務所)
従業員規模50名 制度加入者30名程度での簡易節税シミュレーション
毎年、1年間の社会保険料は、4月・5月・6月に受けた報酬の平均額を計算し、標準報酬月額表にあてはめて、その年の9月から翌年の8月までの標準報酬月額を決めます。ここで決定された新しい標準月額は9月より摘要されます。
制度を導入した場合のデメリットとしては、標準報酬月額が下がるということは将来受け取る公的年金の受給額も減額されますが、節税メリットの方が圧倒的に大きくなります。
第2部では、選択制企業型確定拠出年金制度を活用した資産形成術について解説します。
当事務所では、選択型企業型確定拠出年金制度の導入サポートを行っております。