みなさんこんにちは。前回「私の履歴書(前編:合格から独立3年目)」 に引き続きお話しいたします。
出版について
出版のきっかけは、発信です。発信とは、web上のことのみではなく、日ごろの会話も含みます。
当時私が成年後見に力をいれていると知っていた友人が、商業出版のスカウトを受け「それならば彼女と共著にしたい」と私に白羽の矢がたったのでした。
身近な人達に、自分の取り組みを伝えておくって、意外と大事なんですね。
1人の限界
独立5年目になると、1人で作業をするのに限界を感じてきました。
毎日26時まで作業をしないと間に合わない状態が続き、恐怖で変な夢をみたりしました。
時間的にも精神的にも求人をする余裕がないというところまで行ってしまい、ひとまず愛知から母親を呼び、土日に手伝ってもらいました。
皆さんに言いたいのは、こんな限界まで1人で頑張るのはNGということです。
同じような状況で鬱状態になった友人もいます。もっと早く求人をするか、仕事量を調整するべきでした。
事務所のシェア
現在は、千代田区で友人と事務所経費をシェアしています。会計はそれぞれ別の事務所だけど、お互いに協力し合うという感じです。疑問がわけばすぐに相談できるし、人手が足りないときにフォローし合えるので、気に入っています。
専門分野について
また時間が戻りますが、私が成年後見業務に取り組み始めたのは2007年です。上野で勤務しているときに、後見人の第一歩を踏み出しました。当時のボスは後見はやりたくないとのことだったので独学でやっていたのですが、ばあちゃんこだった私は、高齢の方と接するのが楽しくて、徐々にのめりこんでいきました。
しかし、成年後見制度は知れば知るほど、万人に向いているわけではない、という事を実感し、2016年頃から、元気なうちにできる対策(家族信託や任意後見、遺言など)に力をいれるようにシフトしていきました。
士業の役割
私達士業には、医者のような役割があると思っています。放っておけば致命傷になってしまうと知っていて予防策を伝えないのは罪である、という意識で仕事をしています。「元気なうちに備えてほしい」という素直な気持ちを発信していたら、2冊目の商業出版が決まりました。
のんきな勤務司法書士の時代から思考が変わったのは、「こりゃキツいな」と思える時期を経たからだと思います(前編参照)。今まで「当たり前」だと思っていたことは、当たり前ではなかったのだという、当たり前のことに気づいたのです(伝われ)。そうしたら、ほんの少しの出来事にも感謝するようになり、どんな些細なことにも喜びを見つけられるようになりました。
皆さんも、これからしんどいことがたくさんあるかもしれませんが、「試練は成長するための肥料」と思えばピンチもウエルカム、バッチコイ、です。
事務所選びについて
私のように、何も調べずに事務所に突撃するスタイルは、非常に遠回りになるのでオススメしません。
将来どんな分野をやってみたいのか、という視点は大事です。あ、自分のことは棚に上げて書いています。
この点、司法書士JOBサーチさんは取扱業務がわかりやすく、質問フォームもあっていいですね。
AI時代について考えること
単純作業は、人がやらなくても良い時代が来るでしょう。必要とされ続けるためは、手続業務プラスαの付加価値を見出せる仕事を作り出せるかどうか、だと思います。
私は途中で挫折してしまいましたが、企業法務を極めるのもオススメ(憧れもあり、過去にチャレンジはしたんですよ)。
今私が取り組んでいる生前対策分野など、ご家族とのコミュニケーションや気持ちを汲み取る力がカギとなる仕事のやり方も、AIではなかなか難しいだろうなと感じます。
私のミッション
現在、“介護や相続のまさかをなくす”をミッションに生前対策に力を入れています。
色々な分野にチャレンジをしてきましたが、好きでやっていたことが得意分野と重なった時に、自分の中で歯車があった気がして、ライフワークになっていきました。
そして最近は、様々な企業さんとコラボして、生前対策周りの新規事業のお手伝いをさせていただいています。スポット業務以外の継続的なお仕事も、少しずつですがご依頼いただけるようになってきました。
最後に
司法書士の資格は、「名札」として非常に強力です。自力ではお会いできないような会社さんと一緒にお仕事をさせてもらえたり、出版させてもらえたり、取材していただいたり。なんのとりえもなかった高校生の私が今の私を見たらビビりあがるでしょう。
司法書士の資格さえとったら安泰、という時代は終わりましたが、先輩司法書士たちが積みあげてくれた信用力はとても強大で、工夫次第で選択肢は無限大です。社会に役立つ仕事を、“事務所の垣根を超えて” みんなでやっていけたらいいな!と思っています。