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本書は、新人司法書士、開業前後の司法書士、引いてはこれから司法書士になろうとしている方々(本書では総称して「新人司法書士」と表記させていただきます。)を対象にした書籍です。
司法書士にはプロフェッショナルとしての側面とサービス業としての側面があります。
司法書士間の競争が激化する中で、新人司法書士が成功していくためには、この両面を強く意識していかなければなりません。
プロフェッショナルとしての問題解決能力が低ければ、そもそもクライアントの課題に対して納得のいく解決方法は提示できません。これではクライアントは離れていってしまいます。
では、プロフェッショナルとしての問題解決能力が高ければクライアントは満足し、リピートしてくれるのでしょうか?
そんなことはありません。いくら問題解決能力が高くても、クライアントに嫌な印象や悪い印象を与えてしまったら、クライアントはあっという間に離れていってしまうのです。加えて、継続してリピートしてもらうためには、クライアントの満足度をできる限り向上させていく努力が必要になってきます。
クライアントが司法書士を選ぶ時代になってきている今、他の司法書士との差別化という意味でも、サービス業としての側面はますます重要になってきています。
このように、司法書士にとってプロフェッショナルとしての側面、サービス業としての側面はどちらも欠くことのできない重要なものなのです。
新人司法書士は、この両面を磨いていかなければなりません。
プロフェッショナルとしての知識や技術を磨くための書籍は、書店に行けばたくさん並んでいます。
司法書士の先輩方の書いた専門書、実務書など数多くあります。
また、司法書士会の研修などでも、各専門分野の知識を学ぶための研修は数多く行われています。
自分さえ学ぶ意欲があれば、プロフェッショナル性を磨く機会には事欠かないでしょう。
一方で、サービス業としての側面を磨く機会はどうでしょうか?
実は、そのような機会はほとんどないというのが現状です。
新人司法書士は、実務を行う中で試行錯誤しながら、時には失敗し、クライアントを失いながら身に着けていくしかないのです。
クライアントを失うというのは、特に開業直後の司法書士にとっては、大きな痛手です。
このようなことから、本書では、サービス業としての側面を中心に、司法書士業界の現状、業務、独立開業、事務所運営、営業について記載致しました。
サービス業には正解というものが無いのかもしれません。本書も、実際に私が行っていることや、周りの司法書士の行っていることを参考にして、役立ちそうな知識や技術を記載したものです。
新人司法書士のみなさんは、これから自分なりのサービスを確立していかなければなりません。
本書をその足掛かりにしていただければ嬉しく思います。
また、新人司法書士のみなさんにとって、独立開業というのは、向き合わなければならない一大イベントです。
独立開業する司法書士が多い中で、果たして他にも司法書士として活躍できる選択肢はないのでしょうか?
実際に独立開業した先輩方はどのように独立し、どんな苦労をして、今どうなっているのでしょうか?
本書では、実際に独立開業した複数(著者含む)の司法書士にそのリアルな独立開業体験を執筆いただきました。
新人司法書士にとっては、大いに参考になるところがあるのではないかと思います。
司法書士は、無限の可能性を持った素晴らしい職業です。
本書が、みなさんの司法書士人生の成功にとって、少しでもお役に立てば幸いです。