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司法書士の事務所形態【04/18】

ここでは、司法書士の事務所形態を見てみましょう。

司法書士事務所にもいろいろな形態があります。
もし、自分が開業するとしたらどの地域で、どのような業務を行い、どういった組織形態でサービスを提供していくのか考えておく必要があります。

事務所所在地域

まずは、地域別に見ていきましょう。

事務所開業地域は、自分の行いたい業務と密接な関係にあります。

例えば、特定の分野に特化した業務を行いたいのであれば、特定分野の案件だけである程度のボリュームが見込める都市部に事務所を置くことになりますし、企業法務に特化した業務を行いたいのであれば必然的に事務所は大都市圏に置くことになります。

また、地域に密着したサービスを提供したいということであったり、司法過疎地域で法務サービスを提供したいということであれば地方に事務所を構えることになります。

このように、自分が行いたい業務をベースに戦略的に開業地域を考えていくことがベースとなりますが、忘れてはいけないのは自分がその地域に合うか合わないかという感覚的な問題です。

事務所を開業すると、人生の大部分の時間をその地域で過ごすことになります。

自分に合わない地域で業務を行っていくというのは、精神的にも、業務効率的にも良くないでしょう。

どのような業務を行うか、その地域が自分に合っているかという判断基準のほかにも、一つの指標として地域別の事件数があります。

もちろん、実際には大手の事務所に事件数が集中していたりすることもあり、全体数や平均値で計ることはできないかもしれませんが、一定の目安にはなります。

平成23年時点の法務局管轄別の不動産登記事件数を見てみると、東京や大阪などの大都市圏は全体の事件数は多いものの、司法書士の数も多いため、司法書士1人当たりの登記事件数で見てみると、東京が304.3件、大阪が258.9件と少なくなっています。

1人あたりの件数で最も多い釧路が720.3件で最も少ない大阪の2.7倍程度もの差があります。
横浜、さいたま、千葉などの東京近郊が多いところも注目すべき点です。

また、会社の登記事件数については、全体数も司法書士1人あたりの登記事件数も、東京が飛びぬけて多く、その他の地域はあまり変わりないことがわかります。

自分の開業したい地域ではどのくらいの件数が見込まれるのか、検討してみましょう。


(司法書士白書より)

個人事務所か法人か?

そして、地域と共に、将来はどのような組織形態で事務所を展開していくのかについても考えておく必要があります。

1人事務所としてやっていくのか、所員を雇うのか、雇うならどの規模に広げていくのか、個人でやるのか法人化するのかといった将来像を考えなければなりません。

将来像によって、今から踏み出す一歩が決まってきます。

ある程度の規模に広げていくなら、業務をマニュアル化、システム化していく作業も必要となってきます。

組織形態で大きく違ってくるのが、個人、法人の別です。

司法書士法人は、司法書士法の改正(平成14年5月7日法律第33号)で平成15年4月1日より設立が可能となりましたが、その数は年々増えてきています。

(司法書士白書より)

平成16年4月1日現在では72法人であったのが、平成27年4月1日現在においては550法人となっています。

この数字から、司法書士法人制度の運用以来、実際に法人化することにメリットを感じている司法書士が多いといえるでしょう。

法人化するメリット、デメリットとしては以下のことが挙げられています。

【法人化のメリット】

① 従たる事務所が設けられるため複数拠点展開が可能なこと

② 複数社員により専門分化できること

③ 事務所の永続性を保てること

④ クライアントの信頼を得やすく仕事が取りやすいこと

⑤ 他の社員のサポートがあり、休みがとりやすいこと

【法人化のデメリット】

他の社員の行為についてまで無限連帯責任を負うこと

一方、個人事務所のメリット・デメリットは以下の点が挙げられます。

【個人事務所のメリット】

① 常にクライアントとのフェイストゥフェイスの密接な関係であること

② 意思決定が迅速であること

③ 事務所の所長のカラーを前面に出せること

【個人事務所のデメリット】

① 拠点展開が不可能なこと

② 事務所の永続性が低いこと

③ 休みがとりにくいこと

以上のようなメリット・デメリットを踏まえ、自分が事務所経営する場合の組織形態を検討しておくとよいでしょう。

私自身は、現在東京の新宿区に事務所を構えて業務を行っています。
事務所を新宿に構えたのは、もともと企業法務を中心にやりたかったということもありますが、最終的には、その地域が好きかどうかという理由で決めました。もともと、自宅が新宿を通る中央線沿線にあり、新宿が身近だったことと、新宿のいろいろなものが混在した「ゴチャゴチャ感」が好きでした。

実際に事務所を構えるのは新宿の中でも比較的雰囲気が落ち着いていて、賃料相場も割安な新宿御苑前エリアにしました。

新宿という地域柄、多種多様な方々が事務所を訪れ、時には怪しい方もくることもあって、毅然とした対応をとらなければならない時もありますが、地域という観点では何のしがらみもなくストレスなく仕事ができています。

地方によっては既存の先生方とのしがらみがあり、新人司法書士は自由に営業できにくい雰囲気があるということも聞くことがありますが、そういった意味でも、自由に競争できる都市部での開業は自分に合っていたのだと思います。

このコンテンツは『司法書士研修ノート~開業・業務・事務所運営 実務アシストプログラム~/司法書士安井大樹 著』の内容に若干の編集を行い、その内容の一部をご提供いただき公開したものです。
掲載している内容は、発刊当時(平成26年)のものとなります。現在の実務とは一部異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
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