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不動産売買の立会 司法書士業務の実践①【07/18】

不動産売買の立会

司法書士が不動産登記実務で押さえておかなければならないのは「立会」です。

不動産売買の立会は、司法書士として実務を行っていく上で必ず一度は経験すると言ってもよいのではないでしょうか?
 
立会は、不動産登記実務の総合力を発揮できる場であり、同時に、あまり経験のない新人司法書士にとっては不安と緊張の場でもあるでしょう。
 
立会に関しては、整理され確立された定義というものは、未だにないというのが実情ですが、司法書士界内での一般的な理解では、「不動産売買取引における所有権移転登記と代金支払いの同時履行の場の立会」ということになります。(「不動産取引とリスクマネジメント(佐藤純通他著/日本加除出版株式会社)」213項参照)
 
つまり、司法書士が当事者からの依頼を受けて最終代金決済の場に立会い、当事者双方から所有権移転登記手続きに必要な書類を収集し、本人確認・意思確認等その他登記申請に必要な諸条件が全て整ったことを確認して、買主から売主に売買代金の支払いがなされるということです。
 
実際には、所有権移転登記だけではなく、売主の所有権登記名義人住所変更登記(登記上の住所から移転している場合)、抵当権抹消登記(売主に借入があり抵当権が設定されている場合)、買主の抵当権設定登記(融資を受けて不動産を購入する場合)などの手続きを同時に行うことが多く、関係当事者も多数に渡ります。
 
立会の場では最終的に、司法書士の「登記の必要書類は全て整いましたので、資金の実行をお願いします。」という一声で多額の資金が移動します。
 
司法書士はそれだけ重要な役割を担っているということですが、もし、資金が実行された後で不備などにより、登記手続できなかったら、当事者に多大な損害を与えてしまい、司法書士にも重い責任が課されます。

立会に臨むには、事前の周到な準備と、当事者との入念な打合せ、調整が必要になるのです。

ポイントレッスン 事前準備が大切
 
実際の立会現場では、当事者が10名を超えるようなことなど珍しくありません。
全員が注目する中で、司法書士は冷静に書類を確認し、説明し、捺印など進めていかなければならないのです。

まだ実務に慣れていない新人のうちは、平常心で臨み、立会現場で全てを判断していくのは難しいかもしれません。

事前に準備できることは全てやっておき、立会現場で行うべきことをできる限り少なくしておくことがポイントです。

例えば、確認しなければならない必要書類は事前にファックスなどで情報をもらっておくようにする、事前に当事者に捺印がもらえそうなタイミングがあれば労を惜しまず事前に捺印をもらいに行くなどです。

立会では事前の準備がものをいうのです。

立会の流れ

立会は、その案件ごとに流れや進め方が違ってきますし、事務所によっても、地域によっても異なります。なかなか確立した方法論として説明する事は難しいのですが、以下では、一般的に多く行われているであろう方法及び私の事務所で普段行っている方法を中心に記載いたします。

もちろん、本人確認や意思確認等については、本書「2-5-2.本人確認・意思確認」の項でも記載しましたが、犯罪収益移転防止法や司法書士会会則、規程等に基づき基本に忠実に行う事が大前提となりますので、それを踏まえた上で、以下を参考に自分なりの方法を確立して下さい。

まずは、立会全体の流れを見ていきましょう。

【 立会全体の流れ 】

 ア.立会いの依頼
     ↓
 イ.必要情報の収集(ファックス等)
     ↓
 ウ.各当事者との打ち合わせ
     ↓
 エ.見積もり、必要書類のファックス
     ↓
 オ.書類作成、書類の収集(原本)
     ↓
 カ.立会
     ↓
 キ.登記申請
     ↓
 ク.登記完了

立会全体の流れとしては、このような流れがオーソドックスかと思います。
以下で各項目を解説します。

立会いの依頼

不動産売買の立会は、不動産仲介業者や金融機関から連絡を受けることもありますし、買主や売主などから直接依頼を受ける場合もあります。

買主や売主から直接依頼を受ける場合には、登記業務以外に、売買契約書の作成などの業務も併せて行うこともあります。
本書では、不動産仲介業者が関与して進めていくことを前提に記載いたします。
 
不動産仲介業者から立会依頼の連絡があった場合、まずは、立会の日時、場所の確認をし、スケジュールを確保しましょう。
 
尚、立会当日、立会に要する時間はおよそ1時間程度です。

金融機関で資金の移動ができるのが15時までですし、立会後は、司法書士が書類を整えて登記申請しなければならないため、できるだけ午前中に行う事が多いのですが、午後に行う場合でも、なるべく早い時間帯に調整するように心がけましょう。

必要情報の収集(ファックス等)

スケジュールを確保できたら、今回の売買の、売主、買主、融資の有無、各当事者の連絡先など具体的な概要を聴き取りますが、その前提として、仲介業者の手元にある資料をファックスなどでもらっておくと話がスムーズです。
 
見積もりを出すことも考えて、最低限、売買契約書、対象不動産の登記事項証明書、固定資産評価証明書のファックスをもらいます。

その他にも売主の印鑑証明書、権利証、買主の住民票等のコピーがあればそれももらっておきます。

ファックスをもらったらそれぞれ次の点に注意して確認します。

① 売買契約書

所有権移転の原因となる法律行為である売買契約の有効な成立を確認します。

ア 買主・売主の住所・氏名、押印をチェック
イ 対象不動産を確認
ウ 売買契約条項の確認(特に特約事項の欄には重要な情報が記載されている場合がありますので注意して読むことが必要です。)

② 対象不動産の登記事項証明書

売買対象不動産の現在の権利関係を正確に把握します。もし発行日付が古いようであれば、あらためて登記情報を取得し、最新の情報を確認しておくようにしましょう。

ア 売主の住所は売買契約書に記載のとおりか(売買契約書に記載している住所と異なっている場合は住所移転の有無を確認する必要があります。)

イ 担保権や差押えがついていないか

ウ 分筆、合筆されていないかどうか(売買契約締結後分筆・合筆されている場合は売買対象物件を正確に把握しておくことが必要になります。)

エ 地目が田、畑でないか(田・畑なら農地法の許可が必要になります。)

③ 固定資産評価証明書

評価証明書は所有権移転の登録免許税を算出するために必要なものです。

ア 本年度の評価証明書であるか否か(たまに本年度でない評価証明書が送られてくることもあります。)

イ 登記簿の㎡数と評価証明書の㎡数が一致しているか(評価証明書の㎡数の方が登記簿の㎡数より大きい場合はそのまま評価証明書の価格が課税価格になりますが、評価証明書の㎡数の方が登記簿の㎡数より小さい場合は法務局に課税価格の相談をする必要がある場合があります。)

各関係者との打ち合わせ

上記書類の確認が終わったら、次に各関係者と連絡をとり、打合せをします。買主仲介業者、売主仲介業者、抹消抵当権者、今回融資する金融機関など各関係者に、それぞれ打合せしなければならない事項があります。

依頼者から各関係者の連絡先を聞き、連絡をとりましょう。

尚、各関係者との打ち合わせについては、チェックリストのようなものを作っておくと漏れなくスムーズにできるのでお勧めです。各関係者と打ち合わせなければならない事項は次のとおりです。

~立会い 打ち合わせ事項チェックリスト~

/( ) : (at   )         

<買主仲介>  連絡先℡            担当者      様

□買主本人(法人代表者)は当日来るか?
 □来る  □来ない
      
↓来ない場合 
[ 個人 ]
・事前に本人確認に行く→本人確認の日時・場所を打ち合わせ
              /( ) : (at             )
→捺印書類(原因証明情報・委任状・代理出席委任状)に署名捺印してもらう

[ 法人 ]
・登記事項証明書(または印鑑証明書)、当日来る方の名刺をファックス依頼(当日は出席者の身分証明書を確認)
・捺印書類(原因証明情報・委任状・業務権限証明書)を事前に郵送(転送不要書留)
→当日来る方に持参してもらう

□新所在地に住所移転するか?
 □移転する  □移転しない

↓移転する場合
住民票は、新住所に移転後のものを準備してもらう

□住宅用家屋証明書とるか?
 □とる  □とらない

↓とる場合
□こちらでとるか?
 □とる  □とらない

↓こちらでとる場合
謄本・売買契約書・移転後住民票、その他をファックス依頼 
⇒□ 依頼済  □ 到着

□(買主が複数のとき)持分は?…  /    様  /    様

□ファックス依頼(謄本・売買契約書・住民票・資格証明書・身分証明書等)
 ⇒□ 依頼済  □ 到着

<売主仲介>  連絡先℡            担当者     様

□売主本人(法人代表者)は当日来るか?
□来る  □来ない

↓来ない場合
[ 個人 ]
・事前に本人確認に行く→本人確認の日時・場所を打ち合わせ
  /( ) : (at             )
→捺印書類(原因証明情報・委任状・代理出席委任状)に署名捺印してもらう

[ 法人 ]
・登記事項証明書(または印鑑証明書)、当日来る方の名刺をファックス依頼(当日は出席者の身分証明書を確認)
・捺印書類(原因証明情報・委任状・業務権限証明書)を事前に郵送(転送不要書留)
→当日来る方に持参してもらう

□名変あるか?
□有  □無

↓ある場合
住民票or附票をファックス依頼
⇒ □ 依頼済  □ 到着  □ 住所の繋がり確認済

□権利証あるか?
□有  □無  □一部無

↓ない場合
本人確認情報になり費用がかかる
   
[必要書類]
・売買契約書、請負契約書、重要事項説明書
・領収書
・固定資産税納付書
・電気、ガス、水道等の納付済み領収書 など

□ファックス依頼(評価証明書・権利証・印鑑証明・資格証明・身分証明等)
⇒□ 依頼済  □ 到着

□抹消行の担当者は当日来るか?
□来る  □来ない

↓来ない場合
□当日、本人も抹消書類の受け取りに同行するか?
□する  □しない

↓同行しない場合
抹消行へ、司法書士が受け取るための必要書類を要確認

□抹消行の連絡先と担当者は?

<抹消行>  連絡先℡            担当者      様

□担当者は当日来るか?
□来る  □来ない

↓来ない場合
(本人が同行しない場合)司法書士が受け取るための必要書類は?
□ 委任状(ひな型 □有 □無)  
□ 印鑑証明書(□原本 □コピー可)
□ 受領者の身分証明書  
□ 受領者の印鑑
□ その他(               )

□抹消書類ファックスは可能か?
□可  □不可

↓不可の場合
口頭にて確認(書類の種類・通数、抹消日付、抹消原因、代表者氏名) ⇒□ 確認済

*抹消原因:□解除 □弁済    
*抹消日:□決済日 □その他(  月  日)
*代表者氏名:         

<設定行>  連絡先℡            担当者      様

□根or抵?
□根  □抵

□担保設定対象の物件の所在は?

□設定金額、利息、損害金、債務者、金消日付、担保権者は?
○設定金額:         円
○利息:年    %(             )
○損害金:年    %(             )
○債務者:□設定者と同一 □その他(           )
○金消日付:  月  日
○担保権者:□信用保証会社 □銀行

□設定書類はいつ受け取れるか?
□いつでも可  
□ 月 日  :  以降
□未定  □その他(          )

① 買主側の仲介業者との打ち合わせ事項

ア 立会当日に買主本人が出席するか
出席する場合には、当日、必要書類に署名・捺印してもらい、本人確認・意思確認も立会当日に行います。

出席しない場合には、事前に本人に会いに行くなどして、本人確認・意思確認を行っておきます。この際に可能であれば必要書類に署名・捺印してもらいますが、本人から当日出席する代理人宛ての委任状にも署名・捺印をもらっておきましょう。
 
法人の場合、代表者が出席するときは、直接その代表者の本人確認・意思確認をしますが、代表者が出席する事が難しい場合は、事前に登記事項証明書(または印鑑証明書)の写しをもらい、必要書類をその本店所在地(または支店所在地)に事前に郵送(転送不要の書留郵便)し、捺印の上、当日社員等の業務権限を有する者に持参してもらいます。

尚、その場合、代表者から業務権限を有する者に対し業務権限証明書(印鑑証明書付)を発行してもらい、当日は業務権限を有する者の本人確認などを行えば確実でしょう。

イ 新住所地(購入物件)に住所を移転するのか
実務では決済前に買主が新住所に移転し、新住所で登記をする場合が少なくありません。
(転居前の住所移転の問題の有無はあるものの、実際多く行われています。)

住民票を新住所に移転済みの場合は立会日までにその住民票を準備してもらいます。

ウ 住宅用家屋証明書を取得するか
一定の要件を満たす家屋について、住宅用家屋証明書を添付すると、租税特別措置法により登録免許税の軽減措置を受けることができます。
 
この要件に該当するかどうかの検討も必要になります。
(参考「登録免許税の軽減のための住宅用家屋証明書取得の手引き/第一法規」)

エ 買主の持分
買主が複数人いる場合には各買主の持分を確認します。

オ 自己資金か融資を受けるのか
金融機関から融資を受ける場合には担保設定する金融機関の連絡先、担当者を確認します。
また、金融機関からの借入額も確認します。

② 売主側の仲介業者との打ち合わせ事項

ア 立会当日に売主本人が出席するか
原則として、「①ア買主側の仲介業者との打ち合わせ事項」と同様ですが、成り済ましなどによる被害も複数発生していることから、より一層入念な確認が必要と言えます。

イ 売主に住所変更はあるか
住所変更がある場合には登記事項証明書上の住所とつながりのつく住民票又は戸籍の附票を取得してもらいます。
登記事項証明書上の住所と現在の住所のつながりのつく住民票及び戸籍の附票が取得できない時は、法務局に事前にどのような書面が必要になるか相談しておく必要があります。(不在籍・不在住証明書など別途求められることがあります。)

ウ 登記済権利証・登記識別情報はあるか
紛失・失念している場合は、原則的に、資格者代理人の本人確認情報によることになります。
資格者代理人の本人確認情報による場合は、立会までに本人確認を済ませておき、本人確認情報の準備をしておくことが重要です。

エ 抹消金融機関の担当者及び連絡先
売買対象不動産に担保権が付いている場合、抹消金融機関とも打ち合わせを行う必要があるので、その担当者と連絡先を確認します。

③ 抹消金融機関との打ち合わせ事項(担保が付いている場合)

ア 担当者は立会当日出席するか
担当者が出席しない場合は、立会日までに司法書士が金融機関に出向いて(またはファックス・電話で)抹消書類を確認しておく必要があります。

立会当日は、抹消書類を事前に確認している旨、立会終了後に売主とともに抹消書類を受領しに行く旨を当事者に説明し、取引を実行してもらいます。
 
また、立会終了後、抹消書類の受領に司法書士のみが行く場合、売主からの委任状、印鑑証明書等の抹消書類受領のための必要書類を確認しておく必要があります。

イ 抹消書類のファックスは可能か
抹消書類の事前確認のためファックスを依頼しますが、ファックスが不可能な場合、司法書士が抹消金融機関に出向いて確認する、口頭で読み合せてもらうなどの方法で事前に確認します。

ウ 全部抹消か一部抹消か
共同担保目録に売買対象物件以外の物件が入っている場合、共同担保目録中の全ての担保権を抹消するのか、それとも売買対象物件のみの一部抹消かを確認します。

エ 差押え、仮差押え登記がある場合
差押え、仮差押え登記の抹消は、裁判所に取下書を提出し、裁判所からの嘱託登記となります。

通常、立会時に司法書士が債権者から取下書を受領し、立会終了後すぐに裁判所に提出します。

取下書は差押申立書の印鑑と同一のもので押印されている必要がありますので、確実に取下書が受理されることを確認するため、事前に債権者から取下書のファックスなどをもらっておき、裁判所に確認しておく必要があります。事前に確認できない場合は、取下書に債権者の実印を捺印してもらい、印鑑証明書の添付を求める事が必要となります。

④ 設定金融機関に聞くべきこと(融資を受ける場合)

ア 担保権の内容
抵当権・根抵当権の別、設定金額、利息、損害金など、担保権の内容を確認します。

イ 担保対象物件の確認
今回、担保権を設定する物件は売買物件のみか、それとも他に担保とする物件はないかを念のため確認しておきます。

ウ 設定書類の受取日
抵当権設定契約書等の担保権設定書類は、立会前日までには金融機関から受取ることができることがほとんどです。いつ受取ることができるのか確認し、早めに準備しておきましょう。

見積もり、必要書類のファックス

各関係者との打ち合わせが終わり、今回の登記手続の内容が固まったら、各当事者(売主・買主)の登記費用の見積書、立会当日の必要書類の案内文書を作成し、それぞれの仲介業者にファックスなどで準備の依頼をします。

※必要書類の案内文書例

売主 甲野一郎 様

取引当日にお持ちいただくもの
(登記手続に必要なお持ち物です)

★□ 登記識別情報(平成21年○月○日第1234号) 1通
※登記識別情報…A4の薄緑色の紙にシールが貼ってあるものです。シールは剥がさないでお持ちください。

★□ 住民票又は戸籍の附票 1通
  ※東京都○○区△△一丁目1番2号から現在のご住所までがつながるものをお願いいたします。

★□ 印鑑証明書(3ヶ月以内に発行されたもの)  1通

★□ 固定資産評価証明書 1通

□ ご実印

★□ 身分証明書
※写真付の場合(ex. 免許証・パスポート)…1種類でかまいません
※写真なしの場合(ex. 保険証・年金手帳)…2種類必要です

□ 登記費用(現金にてお願いいたします)

※★印のついたものに関しましては、事前にFAXをお願いいたします。

書類作成、担保設定書類の受領

立会当日に署名・捺印をもらう登記原因証明情報、委任状などの書面の作成、登記申請書の準備をしておきます。

登記費用も当日に預かりますので、その請求書・領収書も準備しておきます。

融資がある場合、抵当権設定契約書等の担保設定関係書類を金融機関に出向いて事前に受領し、立会当日までに必要な準備をしておきましょう。

立会当日

① 事前謄本、登記識別情報未失効証明取得

立会当日は、必ず対象不動産の登記情報を取得し、準備段階で確認した登記情報との変動がないか確認します。

予期しない差押えなどの登記が入っていた場合立会を中止せざるをえません。
 
また、立会で受領すべき登記識別情報がある場合には、その登記識別情報の未失効証明を取得しておきます。

未失効証明の取得は、もちろん立会当日に行うのがベストですが、取得に若干時間がかかる場合があり、立会に間に合わないということになってしまうと元も子もありませんので、決済の時間帯によっては、前日までに行っておいた方が良いかもしれません。

② 立会開始

立会には司法書士本人が出席します。
 
立会の集合時間は厳守しましょう。
立会の場では、司法書士が主導権を握る必要がありますが、遅刻などしてしまっては主導権どころではありません。

遅刻はしなかったとしても、当事者より遅く行ってしまうと、特にまだ慣れない新人のうちは、それだけで焦ってしまいます。

集合時間の20~30分くらい前に到着して、落ち着いて準備しておくことがポイントです。
 
当事者がそろったら、それぞれ名刺交換をして立会を開始します。

③ 本人確認

あらかじめ準備を依頼しておいた、本人確認書類の原本の提示を受け、確認します。

記載内容に間違いが無いかを確認するのはもちろんですが、手に取り外観・形状に異常が無いかもしっかりと確認し、写し(コピー)をもらいます。

④ 必要書類の確認

次に、必要書類の確認を行います。あらかじめ準備を依頼しておいた必要書類を、当事者ごとに順番に確認して預かっていきます。

書類に不審な点がないか十分に注意しながら確認することが大切です。印鑑証明書、資格証明書の有効期限には注意しましょう。

⑤ 意思確認、署名捺印

必要書類が全て揃ったら、次に登記原因証明情報、委任状などに署名捺印をもらいます。

登記原因証明情報、委任状などは内容を説明し、同時に当事者の意思確認も行います。
 
売主の委任状など、実印の捺印が必要な書類に関しては、④で預かった印鑑証明書で印影を照合します。

印影が不鮮明な場合は、すぐに捺印し直してもらいましょう。

⑥ 決済宣言

署名捺印が終わったら、再度全ての書類を見直し、手続に漏れが無い事が確認できたら「登記の必要書類は全て整いましたので、資金の実行をお願いします。」という決済宣言をします。

これによって高額な資金が移動しますが、基本的には銀行振り込みで行われる事が多く、売主の口座又は売主の債権者の口座に着金確認できるまでに時間を要する場合があります。

着金待ちの間、買主・売主にそれぞれ権利証等の完了後の書類の受渡し方法、返却方法を確認しておきましょう。

<参考:資金の流れの一例>
融資金融機関(抵当権者) → 買主口座 → 売主口座 → 売主債権者(抹消抵当権者)

⑦ 立会の終了

資金実行が完了し、売主債権者まで着金の確認ができたら立会は終了です。一般的にはこの時点で登記費用の精算も行います。抵当権抹消登記手続の書類の受領が必要な場合は、売主とともに(または売主から委任を受けて司法書士のみで)抹消金融機関に出向き受取ることになります。

登記申請

登記申請は当日中に行う必要があります。

また、金融機関の抵当権設定登記を行う場合には、ほとんどの金融機関が受領証を求めますので、受領証を取得し登記申請後、金融機関宛てにファックスします。

登記完了後の処理

登記が完了したら、登記事項証明書を取得し、申請通りの登記がなされているか確認します。新たに発行された登記識別情報や、返却された書類などは、当事者と打ち合わせした方法で受渡し、返却を行います。
 
尚、重要な書類のやりとりとなりますので、本書「2-6.書類の授受」で記載したとおり、後々証拠が残るようにしておきましょう。

このコンテンツは『司法書士研修ノート~開業・業務・事務所運営 実務アシストプログラム~/司法書士安井大樹 著』の内容に若干の編集を行い、その内容の一部をご提供いただき公開したものです。
掲載している内容は、発刊当時(平成26年)のものとなります。現在の実務とは一部異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
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