はじめに
はじめまして、千葉県館山市で開業している山崎勝弘と申します。
私は平成17年の司法書士試験に合格し、その後4年弱都内の大手法人等に勤務し、平成22年に生まれ育った地元の館山に戻り開業致しました。
開業して12年が経ち、現在は司法書士3名、その他スタッフ4名の計7名で業務を行っております。
今回は地方での開業等について少しお話させて頂きたいと思います。
地方開業の実際
私の事務所のある千葉県館山市は房総半島のほぼ南端にあり、人口は約4万5000人、一都三県にありながら過疎化が進んでいる地域です。
地方、特に過疎化の進む地域(以下、このような地域を指して「地方」と表現します。)で開業を検討される方の多くは、このような地域で開業して果たして事務所の経営が成り立つのだろうか、司法書士としてキャリアを積めるだけの業務があるだろうかという不安な気持ちを持つと思います。
実際、私自身も開業に際しては同じ心配がありました。
しかし、いざ開業してみたら幸運なことにそのような心配は杞憂となりました。
予想以上に仕事は量もバリエーションも沢山ありました。
現在、私の事務所の業務の内訳は不動産登記が約7割(うち決済と相続が約半々)、商業登記が1割、成年後見が1割、その他(債務整理、裁判所提出書類作成等)1割といった感じですが、とにかくありとあらゆる業務が舞い込んできます。
そして、その内容も司法書士の専門性を試される難易度の高い案件が沢山あります。
この業務バリエーションの多さは地方の事務所に多い傾向かなと思います。
また、業務量については地方は司法書士の減少・高齢化が進んでいるため、結果的に司法書士(特に若い会員)一人当たりの業務量は増える傾向にあると感じています。
これらは地域によって若干違いはあると思いますが、私が交流のある地方開業されている先生方も同じようなご意見の方が多いです。
なお、これは決して黙っていても仕事が来るとか、先生然とした態度でも仕事が来るということではありません。
特に口コミでの仕事の依頼が多い地方では、一つ一つの案件を誠実に行うことが最大の営業活動となります。
また、将来的に地方での開業を考えてはいるが、まずは司法書士事務所での勤務を希望されている方は、ご自身が将来開業を考えている場所と似たような環境を持つ異なる地域の事務所に勤務すると、開業した際に勤務していた事務所と商圏が重ならずかつ開業に必要な経験を効率よく習得できるため非常におススメだと思います。
その点で司法書士JOBサーチさんは地方を含め、沢山の司法書士事務所の情報が登録されているので強力な味方になってくれると思います。
仕事以外の生活
仕事以外の生活についてもお話すると、私が館山に戻ってきて得たものは数多くありますが、特に大きいと感じるものは「ほぼゼロになった通勤時間」があります。
私は都内勤務時代、通勤には往復約2時間半かかっていましたが(しかも満員電車)、今は自宅から事務所まで徒歩5分ほどです。
私は実家が農家ということもあり植物の栽培が趣味なのですが、それによって出来た時間を使い今は数多くの植物栽培を楽しむことが出来ています。
地方で暮らす場合、都会ではなかなか実現できない趣味を持つと生活が楽しくなるかなと思います。
館山は海が近いので釣りやマリンスポーツが好きな方にはおススメの場所です。
地方での開業、事務所勤務を決めるにあたって
ここまで地方開業の良い面ばかり述べてしまいましたが、当然のことながら地方での生活は都会と比べデメリットも沢山あります。
そのため地方での開業や事務所勤務を選択する際は、自分自身が今後どのような人生を送りたいかをよく考えることが大切かなと思います。
そしてそれを考えるに際しては日司連でも毎年地方開業に関するイベントを開いていますし、ネットでも地方開業をしている多くの司法書士が日々情報を発信しているので、そうしたものを参考にすると良いと思います。
私自身もTwitterを行っておりますので、地方開業や地方での事務所就職について知りたいことがあればお気軽にご相談下さい。
最後に
司法書士は都会、地方関係なく多様な働き方、生活、人生を実現することができる本当に魅力的な資格です。
そして地方で開業している司法書士としては、私と同じように地方で司法書士として働き暮らすことに魅力を感じてくれる方が一人でも増え、今後も沢山の司法書士が地方で活躍することを願っています。
最後まで読んで頂きありがとうございました。