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司法書士が社会課題解決の最前線に立てる「承継寄付」の意義

金融資産の取巻く状況と協会設立の背景

今、「遺贈寄付・承継寄付」というキーワードがメディアや金融機関で多く取り上げられるようになっているのはご存じでしょうか。

高齢化に伴い関心が高まっている遺贈寄付の経済規模は19年の調査で168億円。
10年前は63億円だったとのことなので急増しています

しかもこれは相続財産の税控除を受けるために申告されたものだけの数字なので、実際にはこれよりもはるかに大きい金額が遺贈されているものと予想されます。

また、少子高齢化が進行する日本では、60歳以上の人が保有する金融資産の割合は2014年に65.7%になり、2035年には70.6%に達するとされています。

60歳未満の現役世代にまわる金融資産は今後さらに減少していく見通しである一方で、高齢化に伴い現役世代の税金や社会保険の負担は増え続けており、このような状況が続くと現役世代や経済的に恵まれていない個人や団体の活動が停滞し、社会は行きづまってしまうことが予想されます。

この課題の解決のためには、相続という形での次世代への財産移転に加え、自分の暮らす社会や地域への寄付という形で社会へ財産を循環させることも有効な方法の1つです。

「人生最後の社会貢献」といわれる遺贈の普及について、相続相談や生前の財産管理相談を受ける司法書士こそがこの社会課題解決の方法の最前線に立てるのです。

私は、相続登記や財産管理に専門家として携わる司法書士として、金融資産を持つ高齢者をはじめ、寄付をしたい人が寄付をしやすい環境の整備に貢献できるのではないかと考え、日本承継寄付協会という非営利型の一般社団法人を設立し、承継寄付・遺贈寄付の普及に取り組んでいます。

遺贈寄付とは、亡くなった後に財産の寄付をすること、承継寄付は生前寄付も含み、人生の集大成として遺したいものを寄付するものです。

遺贈寄付・承継寄付と司法書士に求められる役割について

承継寄付は誰もが負担なく想いをかたちにできる方法でありながらも、相談先も少なく、寄付の意思があっても実現できていないのが現状です。

年間数十兆と言われる相続財産の中で仮に1%でも遺贈寄付に回れば、数千億円規模のお金がNPO法人や公益法人等の必要とされる資金に流れることとなり、子供たちの教育や環境問題、被災地支援等の多くの社会問題の解決にも役立ちます。

また、

① 相続人に相続させたくないというおひとり様の増加

② 築いた資産を社会にインパクトのある形で遺したいという経営者の増加

③ 生涯未婚率の上昇

という理由から今後承継寄付が増えることが見込まれます。

2020年~2022年の毎年行っている当協会の全国調査によると、遺贈寄付という方法を知らない人が多く、遺贈寄付に興味があると回答した方の8割が何らかの手続が必要と感じているが、「手続が複雑」で「どこに相談してよいかわからない」という回答が目立っています。

2割以上の方が遺贈寄付に興味があるにもかかわらず、寄付の遺言書の作成は1%にも満たない状況です。興味があっても断念した方の理由の多くも、「相談先がない」「やり方がわからない」といったものでした。つまり、相談先が圧倒的に足りていないのです。

相続登記や財産管理に関する相談を日々受けている司法書士は、寄付に関しての知識や遺贈の専門知識と社会貢献の理解が深まればまさに遺贈寄付を通じた循環の最前線に立っているといえ、自治体、大学、非営利法人から大きな期待が寄せられています。

実際、日本承継寄付協会には自治体、大学、非営利法人との連携が進んでおり、今後も増え続けることが予想されます。

承継寄付や遺贈寄付は「人生最後の自己実現」として「心の豊かさ」を生み出すものといえます。

時代の流れとともにクライアントの満足度の軸足が物質的豊かさから精神的豊かさに向いてきており、この分野の情報を提供できることが司法書士としてより多くのクライアントに満足していただけるものになると思います。

遺贈寄付の遺言書がつくりやすくなる?!助成金制度について

遺贈寄付が盛んなイギリスでは「Free Wills Week (Month)」として専門家が遺言書を無料で作成するキャンペーンが毎年行われており、この活動が欧米に波及した結果、各国の遺贈寄付増加に大きく影響しています。

世界の事例を踏まえ、国内の「遺贈寄付」の裾野を広げるために、寄付の専門家報酬の助成キャンペーンを行っています。

寄付がされるのは亡くなった後ですが、専門家報酬は今5万円助成されます。全国どこの司法書士の先生でもご利用いただける制度なので、セミナーの際の営業ツールとしてもご利用いただけます。
寄付先は非営利法人ならどこでもよく、寄付金額は10万円でOKです。

協会で行った2022年の遺贈寄付全国調査では、被相続人が少額の遺贈寄付を行ったことへの感想として、約8割が「誇りに思う」「地域に貢献できてうれしい」「使いたいお金の使い方ができてよかった」等の好意的な感想を持っています。

「私はこういうことを思っていた」という私らしさを残すとともに、相続人へのプライスレスな相続ができ、「今の遺言書作成費用」の助成金がもらえる制度、ぜひご活用ください。

※こちらのキャンペーンは一般財団法人日本寄付財団、その他多くのアライアンスパートナー、協賛法人のご協力で運営されております。

【詳細のURLとQRコード】
https://www.izo.or.jp/freewills/

遺贈寄付をどのように話せばいいか

「遺贈寄付のすばらしさ、お客様や社会が必要としていることはわかった。でもどうやってクライアントに伝えたらよいかわからない」そのような声を多くいただき、作成されたのが、遺贈寄付専門冊子「えんギフト」です。

遺贈寄付の魅力や方法、注意ポイントの記載とともに、厳選された寄付先(非営利法人、大学、自治体等)が「例えばこんなところがあります」という形で掲載されており、この冊子をきっかけに自分の母校や興味のある分野、ふるさとへの恩返しを見つけていただける一冊になっています。

こちらの冊子の裏面には、それぞれの事務所の印が押せるようになっているので、この冊子を手に取った方が、冊子を配布した司法書士の先生に遺言の相談にきてくれるような冊子となっています。

この冊子が全国に広がることで、遺贈寄付を知る人が増え、おもいやりのお金が循環すること、司法書士の先生方のお仕事にもなっていただくことを目指して2022年に発行を開始しました。

全国の皆様に無料配布しております。ぜひ、この冊子の設置事務所になっていただくことで、「ビジネスを通じて社会課題解決をする」を実現していただければ嬉しいです。

【詳細のURLとQRコード】
https://contents.izo.or.jp/engift

【執筆者紹介】

司法書士 三浦美樹
(日本承継寄付協会・司法書士法人東京さくら)

〒112-0002
東京都文京区小石川2-3-4第一川田ビル7階
電話: 03-3868-6970
FAX: 03-6735-7377

● 日本承継寄付協会
https://www.izo.or.jp/

※ 遺贈寄付の知識をより深めたい方向け講座
承継寄付診断士 | 日本承継寄付協会 (izo.or.jp)

● 司法書士法人東京さくら(東京都文京区)の求人ページ
https://s-jobsearch.jp/office/4671/?post_id=4671

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