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会社法・商業登記の魅力②(株主総会編)

会社法・商業登記の魅力②(株主総会編)

司法書士法人aviatorsの真下(ましも)と申します。東京で2014年に開業し、会社法・商業登記案件に注力して事務所を経営しています。このコラムでは、私が業務の軸にしてまいりました会社法・商業登記の魅力をお伝えしていきます! 前回のコラムはこちら

今回は、会社法・商業登記に携わる司法書士の代表的な業務の一つである「株主総会に関する仕事」についてお伝えいたします。株主総会は企業の重要な意思決定の場であり、会社法に基づき確実に行う必要のある非常に大切なイベントです。

準備期間中は大変なこともありますが、司法書士として株主総会の準備から運営、議事録作成までを一貫してサポートすることでお客様と信頼関係を築くことができ、その後の継続的な取引につながっていきます。

このコラムでは、株主総会に関する業務の魅力についてお伝えしていきます。

非上場企業の株主総会に関する仕事

非上場企業の株主総会において司法書士が担える役割はいくつかありますが、以下に代表的な3つを記載いたします。

スケジューリングや進行管理

株主総会の準備には、会社法・定款に定める招集期間と招集手続の検討が不可欠です。
司法書士は、法律を遵守しつつ会社の実情に合わせたスケジュールを設定し、企業担当者に具体的なタスクを伝えます。
会社法を熟知している企業担当者は中小企業には滅多にいませんので、司法書士が軸になってスケジューリングや各種の準備を行うことができます。

招集通知や議事録等の書類作成

株主総会の開催に際しては、議決権のある株主全員に招集通知を行う必要があります。
招集通知の送付方法や、招集通知の内容などは会社の状況によって異なりますので、各会社の状況に合わせた書類作成を行います。また、株主総会終了後には、総会での決議事項を正確に記録した株主総会議事録も作成します。

当日の参加

会社の状況によっては、司法書士が株主総会に立ち会うこともあります。
会場での進行をサポートし、議事の進行を確認します。また、議案の採決や発言内容を記録し、議事録の作成に必要な情報を収集します。総会に立ち会うことで、決議内容を正確に理解でき、また議事録の作成まで行うことで、企業担当者の負担を軽減することができます。

司法書士の存在感

非上場企業の株主総会は、司法書士の存在感を示せる業務の一つと感じています。
以下に、その理由を記載いたします。

他士業による関与が薄い

非上場企業においては、顧問弁護士が常に株主総会に関与しているケースは少ないです。
多くの企業は、顧問弁護士がおらず、法律的なアドバイスやサポートが不足していることが多いです。
また、ほとんどの企業に顧問税理士がいますが、顧問税理士が株主総会を手厚くサポートするケースは少なく、税務に関する助言は受けられるものの、総会の運営に直接関与することはほとんどありません。

司法書士の関与も薄い

司法書士は、通常、登記業務を主な役割として関与するケースが多いです。株主総会で決議した役員変更などの登記手続きを担当することが主な業務であり、株主総会の運営サポートまで踏み込んで行う必要性もありません。そのため、「株主総会運営に強い司法書士」としてブランディングできている方は少ないのではないでしょうか。

株主総会支援を行う民間企業の関与も薄い

さらに、上場企業と異なり、非上場企業の株主総会は、株主名簿管理人や印刷会社などの民間企業がサポートを行うこともほとんどありません。これらの民間企業は、上場企業の総会サポートに重点を置いており、一部の大きな非上場企業を除き、非上場企業にはサービスを提供していないことが多いです。

このように、非上場企業の株主総会については、力を入れてサポートをしている会社や専門家が少ない現状があります。司法書士が積極的に株主総会運営に関与することで、非上場企業に対して「登記の依頼先」という役割を超えて、価値提供をすることができます。

株主総会サポートの需要がある企業

株主総会サポートの需要が特に高い企業には、以下のような特徴があります。

外部株主がいる企業

外部株主がいる企業では、特に正確な手続きが求められます。また、株主に大企業がいたり、友好的でない株主がいる場合、株主総会の運営も厳格に見られますので、このような企業では、株主総会をサポートしてくれる司法書士の重要性を認識していることが多いです。

上場を目指す企業

上場を目指す企業にとって、株主総会の適正な運営は非常に重要です。資金調達や業務提携を行う際、投資家や事業会社によるデューデリジェンスで過去の株主総会の手続きが確認されます。
また、上場準備においても過去の株主総会の運用がチェックされます。
上場するためには、上場企業と同様の株主総会を運営できる体制を構築する必要があり、上場準備企業では、司法書士がサポートする機会が多くなります

子会社やグループ会社が多くある企業

子会社やグループ会社が多くある企業では、株主や役員構成を把握し、各グループ会社の株主総会手続きを無理なく実施することが重要です。書面決議や招集手続の省略など、各グループ会社の状況に合わせた最適な総会運営を行うために、アドバイスできることが多くあります。

おわりに

商業の仕事が多い司法書士事務所では、毎年5月~6月の株主総会シーズンになると、企業の担当者と密に連絡を取り合い、総会の準備を進めていきます。会社によっては1年に1度の大きなイベントであり、細かな準備を一つ一つ丁寧に行い、株主総会が無事に終了した際にはお客様と一緒に達成感を感じられている方も多いのではないかと思います。
 
是非、商業の仕事に関心のある方は、株主総会の業務にも取り組まれることをお薦めします。

最後になりますが、少し宣伝をさせていただきます。

会社法・商業登記手続きをもっと多くの人に知っていただき、事務所の垣根を超えて専門性を高められる場を作りたいと思い、2024年から会社法・商業登記コミュニティ(初級~中級向け)を開始しました!

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【執筆者紹介】

真下幸宏
司法書士法人aviators代表、株式会社Beed代表取締役
事務所:東京都中央区京橋2丁目9番12号7階

<司法書士法人aviatorsの主な取り組み>
・会社法、商業登記に関する手続き全般
・中小企業の相続対策(種類株式設計、遺言書作成等)

<株式会社Beedの主な取り組み>
・Beed(ベーシックコース:個人向け)
・Beed(ベーシックコース:社内研修用)
・会社法・商業登記コミュニティ

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