はじめまして。
司法書士の話盛太郎(はなし-もりたろう)でございます。
Twitterに常駐しているみなさん、今日もこんにちは。
本名をことさら隠しているわけではありませんが、とりあえず匿名で失礼いたします。
はじめに
東京都内で開業して現在5年目に入り、勤務してくれるスタッフの助けもありようやく足元が固まってまいりまして、おかげさまで充実した毎日を送らせていただいております。
さて、今でこそ「司法書士でございます」と名乗り、こんな偉そうな文章を書いている私ですが、合格の直前までは、4か所の事務所を渡り鳥のように移りながら勉強をしていた“ザ・補助者”でした。
死ぬほど働いて家に帰って勉強する辛い日々。てんこ盛りの仕事と先の見えない将来に絶望し、合コンに行けば「俺の仕事?司法書士…的なやつ。あ、知らない?まあ弁護士みたいなもんだね!」と真顔で大嘘をぶっこく。精神的にやられていました。
そうやって4つの事務所を移りながら経験を積み合格とともに開業したわけですが、辛かったあの経験がなければ今の私はなかっただろう、と自信をもってそう言えます。
目標を決め、より良いキャリアを選び、ガンガン働いて経験と知識をストックし、将来の選択肢を広げる。
今回はそんな勤務の重要性や事務所を移りながら働くことについてお伝えできればと思います。
ぼんやりしたテーマですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
勤務の立場を使い倒す
いわゆる即独するツワモノ以外の大多数の方の司法書士業界ライフは、一つの事務所を選び入ることから始まります。
ちゃんとしたOJT制度を設けている事務所もあれば、“見て盗め”な事務所もあり、様々ですが、色々なことを学びながら実力をつけていくことになります。
ここで私が声を大にして言いたいのが「事務所に貢献しようなんて思うな」「事務所を利用しろ」「長く勤めなくていい、どんどん辞めよう」ということです。
もちろん経営者サイドは被雇用者に貢献してほしいし長く勤めてほしい。私も人を雇う立場としてそれは間違いなくそうです。
でも働くのはだれのためかといえば、結局は自分(家族やパートナーを含む。)のためです。ですから、まずは自分のために働くべきだと思います。
事務所を使い倒せるのは被雇用者の特権です。事務所がストックしてきた案件を眺めるだけでもとても良い勉強になります。
先輩やボスの知恵を拝借できます。自分では買いそろえられない書籍も事務所なら買ってもらい放題です(ではない事務所もあるみたいですが…)。
事務所のリソースを使い倒して自己実現を推し進める。一方で給与分はしっかり働く。それこそが勤務の正しいバランスの在り方だと私は考えています。ですので、ぜひ「貢献するな」「利用しろ」で実力をつけていってください。
複数事務所で働くことの価値
司法書士、補助者に関わらず、働き方に悩んでらっしゃる方はたくさんいることと思います。
私もかつてそうでした。
停滞した人生をどうにかしたい。高い給与がほしい。とにかく安定したい。
どう働いていくのが正解なのかよくわからないまま、とにかく働いていました。
ほとんどの人にとって仕事は生きるために避けて通れないものです。
しかも人生においてかなりの時間を割くことになる。
だからこそどう働くかを考えることはとても大事だといまは思っています。
私は、つまるところ、どう働くかはどう生きるかだ、ちょっと前からそう考えるようになりました。
ライフワークバランスを重視する傾向だったり、それに関連してリモートワークが増えてきたり、働き方も多様化しています。
「こういう人生を送りたい。だからこう働こう。」
と、働き方を見直すことがあってもいいのではないでしょうか。
働き方を変える方法はいくつかありますが、そのうちの一つが事務所を変えることです。
私はいろいろな人に転職(一般には職を変えることを指しますが、本コラムでは「事務所を移ること」と定義します。)をお勧めしています。
転職にはネガティブなイメージもありますが、私は圧倒的に複数事務所で働くことをお勧めしたい。なぜか。転職は手段だからです。自分の最終目標を再確認し、そこに至るまでのマイルストーンを再設定する。
転職のたびに自分の履歴書を振り返り、自分には何ができて何ができないのか、何がしたいのか、どうなりたいのか、それをアップデートする。転職は自分の人生をより豊かにするための手段です。
転職することで ①人間関係が広がる②仕事の幅が広がる というメリットがあると考えています。
転職すれば新しいコミュニティに入っていく必要があります。超うっとおしい人もいれば素晴らしい人もいる。
今まであったことのないような優秀な人も、とんでもないポンコツもいる。すごく仲良くなれる人と出会えるかもしれない。
正直イチから人間関係を形成するのってちょっと面倒ですけど、人間関係は広がっていくことと思います。
また、従前と業務範囲が変わることで自分の仕事の幅が広がります。決済事務所から相続専門事務所へ、商業登記専門事務所から後見中心の事務所へ。転職をすれば仕事の幅を広げることができますし、もちろん、幅でなく深さを追求することもできます。
事務所によってクライアントや受託する業務の幅・深さは様々です。
せっかくこの業界に入ったなら色々な仕事に触れ“自分の心が震える大好きな仕事”や“楽しくて儲かって仕方がない仕事”を探すのも面白いのではないでしょうか。
上記①②を経て、色々な人や業務を知ることで、世界が広がります。
実際、私はもともと独立願望がなかったのですが、色々なボスの元で働くうちに「自分でやるのも面白そうだ」と思うようになりました。果たして、一つの同じ事務所・同じ人間関係・同じ業務範囲の枠のなかで働き続けていてもそう思えたかというと…ちょっと自信ありません。
(ここからただの宣伝)いまは司法書士の転職に適したサイト ― 例えば、司法書士JOBサーチとか ― もたくさんあります。もし、いま働き方や生き方に少しでもモヤモヤがあるなら、面白そうな事務所があるか探すだけでもやってみてはいかがでしょうか。気分転換になると思います。(以上、宣伝終わり)
最後に
チャレンジこそが人生であり、本当の安定はチャレンジを続けることでしか得られない、と私は考えています。
それは開業司法書士だろうと勤務司法書士だろうと補助者だろうと関係はなくて、本当の安定を望むならば、チャレンジをしなければなりません。
「面倒くさいけど独立して年収2000万ほしいからあと1年だけ相続に強い事務所に転職しよう」「面倒くさいけど3年以内に地元帰ってひとりでゆるゆる働きたいから何でも受託できるよう債務整理をやっている事務所にも行っとこう」。
そういった小さなチャレンジが自分の求める生き方につながっていくのだと私は思っています。
開業して5年、私も毎日少しずつですが、挑戦を続けています。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
長々と垂れ流した駄文が、皆様のキャリアを改めて振り返る一助になったならば、これ以上の幸せはありません。
では、子どもと公園行かなくてはならないのでこのあたりで。また。